執筆者:後藤ようこ
飲食店レビュー一流料理屋の仕事が、ラーメンとして出てくる。1時間待っても食べたい一皿 |麺道 千鶏(チドリ)〔長野・上田〕
- 2026年01月19日
- ビジネスに役立つブログ
執筆者:後藤ようこ
後藤 ようこ取締役副社長
スキル
- ランディング(執筆)
- ディレクション
- コンサルティング
大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。



<記事の概要>
長野・上田「麺道 千鶏(チドリ)」は、ラーメンを“料理の一皿”に引き上げる店。美しい盛り付け、澄んだ鶏醤油スープと絹のような麺、具材や水まで行き届く配慮で、食後に静かな幸福感が残る。平日でも行列必至目 次
1ビジネスの本質をみる
その小さな感動の積み重ねが信頼になり、次の仕事につながっていく。
世の中のビジネスは、誰かの役に立つことで成り立っています。
なかでも飲食店は、「食」という、最も直接的でわかりやすい感動を届ける仕事です。
ときに「今日は少しはずしたな・・・」と感じることもあれば、想像以上のおいしさに出会うこともあります。
そうした体験の差分が、記憶に残る価値になっていくのだと思います。
先日、そんな当たり前を、ラーメン店で実感させられました。
長野県上田にある 麺道 千鶏(チドリ) さんです。
小さなボックスタイプのテナントに席数は10名ほど。
そこで出てくる一杯は、庶民的な食事のはずのラーメンを、“高級料理としての一皿”に引き上げてしまうものでした。
美しいビジュアル。
研ぎ澄まされた素材。
完璧な接客とオペレーション。
食べ終える頃には、満腹感だけでなく、代えがたい幸せな気持ちで溢れました。
今回は、麺道 千鶏(チドリ)で体験した「期待値を超える仕事」から、ビジネスの基本をあらためて考えてみたいと思います。
2まず結論:この店は「庶民的なラーメン」というより「高級料理店の一皿」
ラーメンは日本の食文化を支える、身近で人気の高い料理です。
日本においては、店ごとのレベルも高く、醤油・塩・味噌・とんこつなどのバリエーションも豊富。だからこそ「おいしい」の基準は上がり、印象に残る一杯に出会うのは案外むずかしいものです。
私は頻繁ではありませんが、月に数回はラーメンを食べます。
好みはどちらかというと、鶏出汁ベースの醤油味が好きです。透明感のあるスープに麺がきれいに絡む、喜多方ラーメンや佐野ラーメンのような系統が特に好きです。
そんな私が「これは別格だ」と感じたのが、長野県上田の 麺道 千鶏(チドリ)さんでした。
鶏の旨味の輪郭が澄んでいて、食べ進めるほどに納得が増えていく。
ラーメンでありながら、高級料理店の一皿のような精度を感じました。
次章から、その“おいしさの理由”を、スープ・麺・具材、そして店全体の設計という観点で解説します。
3まずは美しいビジュアル
まず、着丼した瞬間に「美しい」と感じさせるビジュアルが格別です。
きれいに揃えられたストレート麺。
麺の表情を隠さないように配置された具材。
彩りを整えるために細く刻まれた青ねぎ。
全体の色合いまで計算され、食べる前から自然と食欲が立ち上がってきます。
さらに印象的だったのは、スープの表面に広がる鶏油。
結果として最後まで温度が落ちにくく、飲み進めても“あたたかさ”が保たれているように感じました。
ラーメンは温度が命、と言われますが、その当たり前が丁寧に守られています。
まずは「美しい」と感じさせるための配慮。
この一杯は、目で見た瞬間から、食べる準備が整うように設計されていました。
盛り付けは味の一部だ、と言われる理由がよくわかります。
4雑味を削ぎ落とした「透明スープの輪郭」
ラーメンの質を左右するのは、やはりスープと麺。
麺道 千鶏(チドリ)のスープは、澄んだ醤油のスープです。
見た目は喜多方や佐野の系統より、ほんの少し茶色味が濃い印象。
ただ、口に含むと意外なほど軽やかで、後味がきれいに引いていきます。
醤油の立ち方が強すぎず弱すぎず、ちょうど良い。
そして何より、鶏の出汁の質感が際立っていました。
旨味はあるのに雑味がない。
最後の最後まで飲み切りたくなる、輪郭のある透明スープです。
もうひとつ感動したのは、ストレート麺にこのスープがきれいに絡むこと。
とかくラーメンは、麺をすすると麺とスープがどこかで分離してしまうことがあります。
でもここでは、麺がスープを運び、スープが麺に乗ってくる。
麺と一緒に、絶品のスープをきちんと味わえている感覚があります。
この麺があって、スープの美味しさが引き立つ。
そんな“組み合わせの完成度”まで含めて、一杯として成立していました。
5絹のような食感のストレート麺
麺道 千鶏(チドリ)のストレート麺は、ひと口目で質の高さが伝わります。
まるで絹のような舌触りでありながら、輪郭はしっかり。
何より、スープの絡みがとても良く、すすった瞬間に「麺と一緒にスープを味わっている」感覚がきれいに立ち上がります。麺の長さがちょうどよく、すすりやすさも含めて食べる動作そのものが気持ちいい。
ラーメン店では麺の茹で加減を選べることもありますが、ここに関しては、店主が提示する“この一杯の最適解”をそのまま受け取るのが正解だと感じました。
このスープには、この麺の硬さ。
この温度と、この食感。
そう言われているような、迷いのない仕上がりです。
そして、食べ進めても麺の芯が崩れにくい。
スープを飲み切る最後の瞬間まで、コシと舌触りのバランスが保たれ、満足感が落ちない。
麺が主張しすぎず、スープの高級感を支えているところが、また一流料理的でした。
この一杯の“高級感”は、この麺だからこそ成立している。
そう納得させられるストレート麺です。
6とにかくうならせる3種類のチャーシューとワンタン
ラーメンの具材といえば、まずチャーシューです。
麺とスープが店の軸を決める一方で、チャーシューは「一杯の完成度」を左右する重要な要素でもあります。
麺道 千鶏(チドリ)のチャーシューは、一杯に3種類。
一般的な“ラーメン屋さんのチャーシュー”とは明らかに別物で、驚くほど柔らかく、ローストビーフのような上品な旨味も感じます。それでいて、鶏の旨味が立ち、オリジナルの味付けとして成立している。
よくあるチャーシュー特有の臭みは感じませんでした。
コース料理の前菜に出てくるような軽やかさがあり、麺とスープのバランスを崩さないところが見事です。
そして、チャーシューと同じくらい存在感があるのがワンタン。
ワンタン入りのメニューを選ぶと、3種類のワンタンが入っています。
とろりとした皮の食感はもちろん、包まれている餡の“輪郭”がしっかりしていて、噛むたびに旨味がほどけていく。
ここでも、素材の扱いの丁寧さが伝わってきます。
スープ、麺、チャーシュー、ワンタン。
交互に口に運ぶたびに、それぞれが主張しながらも出しゃばらず、ハーモニーとして心を満たしていく。具材一つひとつに、作り手のこだわりと設計意図が感じられる具材でした。
7清潔感のある店内、静かな音楽。店主の目配りが行き届く
ラーメン店というと、元気の良い活気のあるお店を想像する方も多いと思います。
店に入るなり「いらっしゃいませ!」の声が響き、勢いのある空気の中で一気にすする
——そんなイメージです。
しかし、麺道 千鶏(チドリ)は少し様子が違います。
店内には静かにおしゃれな音楽が流れ、バーカウンターのようにシンプルなカウンター席で、来店客が物静かにラーメンを楽しんでいます。
会話が禁止されているわけではないのですが、自然と声量が落ちる。
大声を出す雰囲気ではないと、客側が空気を読み、ゆっくりと味を堪能している——そんな時間が流れています。
そして、特に強調したいのが清潔感です。
客席はもちろん、オープンキッチン風の厨房も隅々まで手入れが行き届いていて、シンクがきれいに磨かれています。狭い厨房に複数のスタッフが忙しく調理していますが、動線が乱れず、所作がきれいです。お皿を持つのも音をたてず、フランス料理のシェフのようです。
さらに印象に残ったのは、店主の目配り。
全体を俯瞰しながら、客のペースや店内の流れを整えているのが伝わってきます。味だけではなく、「食べる環境」まで含めて一皿として完成しています。
ここにも、ラーメン店というより高級料理店に近い空気を感じました。
8水がおいしく、脇役まで設計されている
ラーメンが運ばれてくる前、テーブルセットと一緒に冷たく冷えたお水が用意されていたのですが、それが驚くほどおいしい。
しかも、お水は保冷のステンレスカップ(THERMOS)に入っていました。
熱々のスープを最後まで気持ちよく味わうには、途中で口を整える冷たいお水が欠かせません。氷で冷たさを維持するのではなく、カップそのものの保冷性能で冷たさを保つ。小さな工夫ですが、体験としては大きいと感じました。
個人的にラーメン店では、グラスの透明感や清潔感が気になることがあります。
グラスが曇っていたりすると、それだけで少し気持ちが下がってしまいますよね。保冷カップなら、清潔感を保ちつつ、最後まで冷たい水を気持ちよく飲めます。こういう細部の配慮が、店全体の信頼につながっているのだと思います。
そして、この水がおいしいこと自体が、長野県ならではの魅力でもあります。
もちろん味の要因は複合的ですが、麺もスープも“輪郭がきれい”に感じる背景に、この土地の水の良さが一役買っているのかもしれません。都会では再現しづらい価値が、ここには確かにありました。
9料理としての「幸福感」:食後に残るのは満足と感動
ラーメンは、庶民的で身近な料理です。
価格と満足度のバランスも良く、多くの人に愛されている料理だと思います。
一方で、その“幸福感”はある程度想像がつく
——そう感じる方も少なくないかもしれません。
しかし麺道 千鶏(チドリ)は、その想像を軽々と超えてきました。
一言でいえば、幸福感。
あるいは至福感。
味の完成度はもちろん、店の空気、丁寧な接客、標準サービスの質の高さまで含めて、「体験」として評価されるべき店だと感じました。
食後に残るのは、満腹感と同じくらいの感動でした。
10来店の注意点:待ち時間と価格感
最後に、来店する際の注意点をまとめておきます。
週末はもちろん、平日でも「並ばずに入れる」ことはあまり期待しない方がよさそうです。
私は金曜日の11:30頃に到着しましたが、すでに17人待ちでした(11:00オープン)。
入口のタッチパネルで順番予約を行い、電話またはLINEで呼び出し通知を受け取る仕組みです。受付票には 17人待ち/約35分 とありましたが、実際には 約40分ほどで呼ばれ、その後店内に入り 食券購入→10〜15分ほど待って提供 という流れでした。
結果として、受付から食べ始めるまで 約1時間。
ただし、食券を買った時点でオーダーが入るため、席に案内されてからは提供が早い印象です。
また、オペレーションがスムーズで、スタッフの案内も丁寧なので、待ち時間のストレスは想像より少なく感じました。
あと価格帯は、決して安いラーメンというわけではありません。
特製塩そばは1,800円以上 になります。
ただ、味だけでなく、細部のサービスや店全体の設計まで含めて考えると、「高い」とは感じませんでした。ここまでこだわり抜いた一皿を出してくれる店なら、十分に値段相応。そう納得できる体験でした。
入口の食券機に料金が書かれていますので参考にしてください。
11まとめ:ビジネスとは誰かの役に立ち、誰かを幸せにすること
誰かに求められ、誰かの役に立つ。
そして、誰かの心を温め、幸せにする。
結局そこに立ち返ることが、ビジネスの基本なのだと思います。
私たちは日頃、「顧客の幸福度」を正しく測る物差しを、強く意識しているわけではないかもしれません。けれど今回、麺道 千鶏(チドリ)という一軒のラーメン店で、その重要性をはっきり体験させられました。
味だけでなく、店の空気、所作、オペレーションまで含めて、相手の期待を静かに上回り、感動として届けていたからです。
いまからでも、明日からでもできること。
12店舗概要
〒386-1103 長野県上田市神畑254−1
《営業時間》
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