執筆者:後藤ようこ
後藤 ようこ取締役副社長
スキル
- ランディング(執筆)
- ディレクション
- コンサルティング
大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。
<記事の概要>
印刷方法には、AM印刷とFM印刷があり、格安印刷はAM印刷 スクリーン線数175が用いられることが多いです。低価格と高品質印刷には、様々な違いがあります。これら違いを知った上で印刷方式を選びましょう。目 次
1印刷業界の価格破壊
印刷業界に価格競争が起こってから、15年近くが経過しようとしています。
印刷業界の価格競争は、もはや価格破壊と言われるほどに激化し、のきなみ安い印刷会社さんが出現しています。
この印刷業界の価格破壊は、インターネットの進化とリンクしているところがあります。
これまでは、アクセスのしやすい近場の印刷会社さんに依頼していた印刷物が、エリアを問わず、日本全国の印刷会社さんにアクセスできようになった事が大きな要因だと思われます。
これまでにはなかった印刷会社さんのテレビCMも出現しました。
驚くほどの低価格の印刷料金を打ち出す会社さんも増え、商取引のバリエーションが増えたのは間違いないでしょう。
しかし、このような低価格の印刷会社さんと、昔ながらの価格を保った印刷会社さんでは何が違うのかはあまり知られていません。『印刷』といえば、どこの会社に頼んでも同じ品質のものが上がってくると思われています。
そこで今回は、『格安印刷』と『高品質印刷』の違いや、価格の違いを決める要素を少し解説していきます。
まず最初に把握しておく必要があるのが、『スクリーン線数』です。
2スクリーン線数とは
印刷の仕上り品質を決めるのが『スクリーン線数』です。
主に、写真などは色の濃淡で表現されています。
この色の濃淡は、印刷においては点(網点)で表現されるのです。
また、印刷方法には、AM印刷とFM印刷があり、格安印刷はAM印刷 スクリーン線数175が用いられることが多いです。最近のAM印刷でも、ベタで塗られた面の色は均一で、印刷の色味も安定しやすいと言われています。
格安印刷とはいうものの、通常の印刷物は、概ねこの印刷方式で印刷されることが多く、遜色ない美しい仕上がりになります。
3高精密印刷とは
それと対抗して、高品質印刷は、格安印刷には表現できないきめ細やかな印刷仕上りを求める方におすすめの印刷方式です。
特に差が出やすいのが、黒いベタ部分やデリケートなグラデーションの印刷です。
細やかなグラデーションは、高精密印刷でないと、納得のいく仕上りにならないことがありますので注意が必要です。
また、色味や発色にこだわる方も、スクリーン線数 175の印刷よりも、スクリーン線数 300以上の高品質印刷をお選びいただいた方が無難です。
4印刷品質以外の違い(色合わせ)
また、格安印刷と高品質印刷では、スクリーン線数によるドットの細かさ以外にも違いがあるので注意が必要です。
格安印刷は基本的に色合わせをすることはできません。
例えば、前回印刷した色味に併せて、誤差があまりでないように色を合わせて欲しいというご要望にも応えられません。逆に高品質印刷の場合は、前回の色見本を工場に送ることで、できるだけそれに近い色合わせをしてくれます。さらには、立ち会いによる色調整も可能な場合もあります。実際、担当者が工場におもむき、印刷機械を回してもらいながら、ちゃんと色がでているかを確認したうえで本番の印刷に進むこともできます。
これらは、格安印刷では対応できませんのでご注意ください。
印刷品質というのは、1回目と2回目が100%同じ仕上りにはなりません。印刷オペレーターや気温、湿度にも左右されたりします。できるだけ近い色味で印刷をしたい場合は、高品質印刷を選び、見本に近い形での印刷を依頼します。(ただし、費用が高くなりますのでご注意ください)
5印刷品質以外の違い(折加工)
低価格印刷と高品質印刷の違いがでやすいのは他にもあります。
例えば、折加工の品質です。三折や二折にした場合、折り面の色味が白く剥げてしあがることがあります。濃い色のベタを使うと、その白ハゲ感は目立つかもしれません。できるだけ格安印刷の場合は、ベタを避けるようにしますが、ご要望によってはどうしても剥げてしまう場合があります。
折り面の白剥げは、厚い紙を使う場合に強くでます。
心配な場合は、少し薄めの紙にするか、高品質印刷を選ぶ必要があります。
また、折り面の白剥げを避けるために、筋押し加工というものをすることも可能です。費用はかさみますが、筋押し加工をすることで白剥げが少なくなります。
反面、高品質印刷の場合は、できるだけ白く剥げないように加工してもらうことも可能です。ベタが多い印刷物の場合には、1冊1冊ごとに合紙をはさんでくれたりします。折加工のみならず梱包の面でも、より品質を保った状態で納品するための工夫をしれくれます。