執筆者:後藤ようこ
ビジネスのネタ【顧客満足度の徹底追求】餃子の行列店「宇都宮みんみん」に学ぶ、満足度を落とさないオペレーション設計
- 2026年01月29日
- ビジネスに役立つブログ
執筆者:後藤ようこ
後藤 ようこ取締役副社長
スキル
- ランディング(執筆)
- ディレクション
- コンサルティング
大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。


「病室」という名前の牢獄 ——草津・重監房資料館で考えた基本的人権(草津で出会う “もう一つの旅”) 
<記事の概要>
行列店・「宇都宮みんみん本店」を訪問。タッチパネル受付と離れて待てる仕組みで待ちストレスを削減し、事前注文・迷わせない動線で回転率と満足度を両立。餃子の味と価格の哲学、他業種に効く学びも整理。目 次
1「宇都宮みんみん 本店」の行列はどうなっているのか?
最近、各地でおいしい餃子に当たる機会が増えていて(草津の道の駅の餃子も印象的でした)、ふと「宇都宮餃子のど真ん中って、結局どんな味だったっけ?」と記憶を確かめたくなったんです。
車で約2時間。
わざわざ行く動機としては、ちょっと贅沢な味の再インストール。
ーもちろん、他の観光も兼ねてですが
久しぶりに「宇都宮みんみん」で、その味を堪能したのでブログにまとめます。
そして結論から言うと、数年ぶりに訪れた「宇都宮みんみん」は、その味だけじゃなく“待たせないための仕組み”が、かなり進化していました。「宇都宮みんみん」本店の代名詞でもある行列が、ここ数年でだいぶ変わっていたのでレポートしてみます。
宇都宮みんみん
店舗情報
宇都宮市馬場通り4-2-3
tel.028-622-5789
【 営業時間 】
<店内ご飲食> 11:00~20:30 LO 20:00
<テイクアウト・発送> 11:00~20:30(最終受付20:00)
2変わっていたのは「味」ではなく「客のまたせ方」だった
昔の記憶だと「とにかく並ぶ」というのががセットでした。
今回も、これを見越して開店(11時)少し過ぎに到着。
いやいや、少し人だかりあるぞ。
開店前から並んでいた第一便さんだと思われました。
ただ、以前は店の前に左に伸びる長い列があったのですが、今回は、それが見られず、数人の人溜まりという感じです。
どうも、受付のシステムが刷新されているようでした。
受付方法
この一連が、とにかくスムーズでした。
店は狭くて混んでいるのに、“詰まっている感じ”にならない。ここがすごい。
タッチパネル
待合スペース
3体験の設計がうまい店は「店員の仕事」を減らし、客が動けるようにしている
運よく、その日はお天気だったので、待ち時間も日差しが心地よく、さほど苦になりませんでした。寒い日は防寒対策を、暑い日は冷房のきいた車内で待ったほうが良いかもしれませんね。
印象的だったのは、店員さんが頑張って回しているというより、頑張らなくても回る設計になっていたこと。
工夫されていることは以下の通りです。
工夫ポイント
受付から食事の提供までもスムーズですが、テーブルに必要なものが揃っているので、店員さんを呼ぶ必要もなく、心地よく食事ができるようになっています。水の追加も客がしますし、会計もテーブルで行うので、できるだけお釣りのないようにお金を用意しておこう!という気持ちになります。(現金決済です)
これって全部、「接客の質」というより運用の質なんですよね。
そして運用の質は、規模が小さくても工夫しだいで導入しやすい起業努力です。
4肝心の「餃子の味」は、久しぶりでもやはり絶品だった
仕組みがうまく回っていた。
――これまで、そういう話を書いてみましたが
結局、いちばん大事なのは、ここ。
餃子はやはり絶品。
数年ぶりに食べましたが、最初の一口で「あ、これこれ」ってなる。記憶って、けっこう曖昧ですが、味の記憶は変わらないものです。
「宇都宮みんみん」の餃子の皮は薄め。でも、ちゃんともちもちしてる。
この“薄いのに、もちもち”がいい。
厚い皮の餃子って、あれはあれで「皮を食べる」楽しさがありますが、みんみんは皮が主張しすぎない。だから、具の美味しさが前に出てきます。
そして中身は、野菜がしっかり。
油っこさで押してくる感じがなくて、食べ進めても重くならない。
これ、女性にもおすすめって言いたくなる理由がわかります。
にんにくも、しっかり効いています。
でも、にんにく臭くない。「にんにく入れました!」っていう強さではなく、味の輪郭だけを立たせて、後味はすっと引くです。パンチと清涼感が同居してる感じです。
で、たぶんここが決定打。
特別なラー油が、最高です。
「宇都宮みんみん」では、たっぷりラー油をつけて食べると、さらに美味しく感じますね。
一皿6個。
でも、あっという間です。
そして、ご飯もちゃんとおいしいので、餃子+ライスは絶品でした。
公式サイトの原材料欄に「野菜(白菜、キャベツ、たまねぎ、ねぎ、しょうが、にら、にんにく)、豚肉…」と明記されています。 また餃子データにも「ニンニク…あり」とあります。 ただし、旨味を抽出する形で使っており、食後の匂いが残りにくいのが特徴とされています
5価格は“安い”だけじゃなく「哲学」になっていた(=体験価値の設計)
迷わない。
店員を呼ばなくても完結する。
そして、肝心の餃子がちゃんと絶品。
ここで伝えたいのは、「餃子がおいしかった」という話だけではありません。
顧客体験の中で満足度が下がる瞬間を先回りして潰しているという点が、事業設計として非常に示唆的でした。
商品品質が高いほど、“体験の粗”が目立ってしまう
餃子は軽く、野菜も肉も感じる。
薄めの皮が具を邪魔せず、味の輪郭が立つ。ラー油の印象も強い。
ここまで商品品質が高いと、逆に目立つのが「待ち」「迷い」「呼び出し」「会計の詰まり」といった周辺体験のストレスです。
宇都宮みんみんは、この“粗”が出やすい部分を、仕組みで丁寧に整えていました。
結果として、「おいしい!」が最大化される状態が作られています。
料理は厨房で完成するのではなく、体験全体で完成する――その典型だと感じました。
みんみんが売っているのは「餃子」だけではなく“満足体験のパッケージ”
会計は(私の注文だと)1000円以内。
ここで気づいたのは、みんみんが提供している価値が「餃子単体」ではないことです。
実態として売っているのは、次のセットです。
それでも「来てよかった」が残ります。(再来店理由が作られている)
これは言い換えると、“庶民の満足体験”の設計・提供です。
単価ではなく、体験の費用対効果(コスパ)で勝っています。
「拡大しない」もまた、体験価値を守る経営判断
本店は狭い店舗ですのでキャパシティに限界がある状況です。店を大きくすれば、行列は減るかもしれません。しかし、設備・人件費・家賃などの固定費が増えると、
など、いま成立している“価格×体験”の最適バランスが崩れるリスクが出ます。
だからこそ、みんみんの「現状のサイズ感を守る」「設計で回す」は、単なる保守ではなく、提供価値を毀損しないための戦略的な維持なのかもしれません。
6ビジネスに効く学び(飲食以外にも効く)
飲食に限らず、店舗・窓口・クリニック・サロンでも同じです。
顧客満足度は、まず「不快な摩擦(フリクション)」で下がります。
「宇都宮みんみん」が上手いのは、これらを接客の頑張りではなく、仕組みで消している点です。結果として、スタッフの負荷も減り、体験の品質も安定する。これは再現性が高い学びです。
学び1:待ち時間は「短さ」より「納得感」
可視化(あと何組)があるだけで、体感は軽くなります。
不満の多くは、時間ではなく「読めなさ」から生まれます。
学び2:ピーク対応は、現場の根性ではなく設計
受付の機械化/待機の分散/注文の前倒し/セルフ要素(水ポットなど)
これらの“工程”を整えるだけで回転率は上がります。
学び3:安さは「削る」ではなく「迷いを消す」ことで作る
メニューを絞る、動線を単純化する、作業を定型化する。
結果としてコストが下がり、価格が守れます。
学び4:小ささは弱点ではなく「体験の記号」になり得る
古い・狭い=不利、ではなく
「ここで食べるから意味がある」に転換できます。
7ちょっと調べたメモ:なぜ宇都宮は「餃子の街」になったのか
いかがでしたでしょうか?
みなさんも機会があれば、ぜひ、宇都宮にいって「みんみん」で餃子を食べてみてください。
最後に、なぜ宇都宮が餃子の街になったのか軽く調べてみました。
歴史的なきっかけ:戦後に“餃子文化が持ち込まれた”
宇都宮の餃子文化の起点は諸説ありますが、よく引用されるのは「市内に駐屯していた陸軍第14師団の関係者が中国で餃子を知り、帰郷後に広まった」という説明です。宇都宮市の公式ページでもこの説が紹介されています。
また、市の研究資料では、兵士だけでなく当時中国大陸へ派遣されていた民間人の帰還など、複数ルートで餃子が根付いた可能性が整理されています。
定着:1950〜60年代に店が増え、「市民のふだんの食」になった
研究資料では、昭和20年代後半〜昭和40年代にかけて餃子を出す店が増え、宇都宮市民にとって餃子が「身近な存在」になっていった流れが具体例とともに書かれています(店名の列挙もあり)。
つまり、ブーム先行ではなく、先に“生活食としての定着”があった、という順序です。
転機:家計調査データで「餃子消費が多い街」が可視化された
宇都宮が“ブランド化”へ動き出す直接の転機は、総務省の家計調査で「餃子の年間購入額」が指標化され、宇都宮の数値が目立つ形で見えるようになったこと。宇都宮市の研究資料では、平成2年(1990年)に市役所内研修でこのデータに着目し「餃子によるまちおこし」を研究発表した経緯が説明されています。
(この“データ起点の企画化”が、観光資源への転換点になっています。)
仕掛けの実装:組織化とイベントで「観光資源」になった
その後、1993年に宇都宮餃子会が発足し、加盟店ネットワークやイベント運営など“受け皿”が整備されていきます。宇都宮市の公式ページでは、発足年と加盟店数、餃子祭りの規模感が明記されています。
材料面:地元食材との相性(ニラ等)が“家庭食・外食”の広がりを後押し
食材面の背景としては、栃木県が「宇都宮餃子にも使われるニラの生産量は全国第2位」と紹介しており、餃子の具材との相性(供給の厚み)が良いとされています。
さらに、地域活性化系の資料では、小麦・豚肉・ニラなど“材料が揃いやすい”ことが普及要因として触れられています。
参考:
https://www.city.utsunomiya.lg.jp/citypromotion/1007188.html
参考:
https://www.pref.tochigi.lg.jp/miryoku/miryoku_jitsuryoku/shokuno_oasis.html?utm_source=chatgpt.com