執筆者:後藤ようこ
後藤 ようこ取締役副社長
スキル
- ランディング(執筆)
- ディレクション
- コンサルティング
大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。
<記事の概要>
パンフレットやカタログ制作の際、どのようにデザイナーに要望を伝えるべきかわからないという方のために、デザインの要望の伝え方と関わり方についてまとめました。目 次
1デザインの要望を伝えるのは難しい
こんなお悩みはありませんか?
◉希望のデザインを、どのように指示すればよいかわからない。
◉自分の意図したデザインにならなかったらどうしよう。
◉そもそも、どんなデザインにしたいかわからない。
当社は、約27年間にわたり、パンフレットやカタログ制作を専門として業務を行ってきました。お付き合いした顧客の数は数千社に及びます。(弊社の実績は、お客様の感想をまとめた『リアルな声』を御覧ください。生の声をそのままアップしています。別ウィンドウで開きます。)
制作会社にパンフレットやカタログのデザインを依頼する際、最も気掛かりなのが『デザイン』の事ではないでしょうか?
果たして、依頼するデザイン会社は、自分の要望を加味してデザインを作ってくれるだろうか?
疑心暗鬼になってしまう方が多くいらっしゃいます。
実際、制作会社に頼んでみたものの、『思い通りのデザインにならなかった』という失敗談もよく聞きます。
デザインというのは、極めて主観的な感情に左右されます。
ものの見方・感じ方・考え方(理解・評価・判断)が、当事者個人の立場・感情・経験などに依拠・依存しているさま。その人がどう受け止めたかということ。
主観的とは、各個人の考え方なので、その人によって異なります。
ですから、正解も不正解もなく、当事者が思い描いているものが正解となります。そのため、第三者が、そのイメージを正確にとらえるのは、とても難しいのです。テレパシーでも使わない限り、その人の主観的な考えを正確にやりとりすることは不可能でしょう。
ですから、デザインに関する要望は、言語を駆使して、できる限り正確にデザイナーに伝える必要があります。
しかし、どのように具体的にデザイナーに要望を伝えたらよいのかわからないですよね。ここからは、どのようにデザイナーに要望を伝えたら伝わりやすいか、その伝え方のコツについて以下に解説いたします。また、より良いグラフィックデザイナーに出会えるための制作会社の選び方まで、大切なポイントをまとめました。
2好みに近いデザインの見本を見せる
具体的な希望のデザインがある場合
もしも、自分の中で具体的な希望のデザインがある場合は、その頭の中をできるだけ具体的にデザイナーに伝える必要があります。デザイナーと良好なコミュニケーションを取るには、可視化された資料を示して説明することが重要です。
自分の好みや希望のイメージに近い、別の企業のパンフレットデザインをデザイナーに提示しましょう。具体的なサンプルを見せられればデザイナーもイメージしやすくなります。インターネット上で見つけたデザインなどは、非常に参考になります。
具体的な希望のデザインがない場合
ご自身のなかで、これといって具体的な要望が無い場合でも、大雑把な希望イメージは伝える必要があります。
例えば、優しい雰囲気とか、クールで硬い雰囲気など、印象の大枠でも構いません。
逆に、好みではないイメージを伝えるのもデザイナーの参考になりやすいです。
カラフル過ぎるのは嫌だとか、嫌いなデザインは避けてもらうようにするだけでも、自分の要望が反映されやすいでしょう。
また、言葉で説明する時は具体的な名称を挙げて説明するとデザイナーがイメージしやすくなります。例えば、以下のような説明が好ましいです。
どれもこれも、有名な企業や媒体ですから、誰もが即座にイメージしやすいです。この段階で、イメージしにくいニッチなものを例題にしてしまっては、デザイナーも困惑しますので、できるだけ誰もが想像しやすい参考イメージを伝えるようにすると失敗しにくいでしょう。
3最もアピールしたいコンテンツを教える
次に、大事なのがPRしたいコンテンツの要望です。
パンフレットやカタログなどで、特にアピールしたいコンテンツをあらかじめデザイナーに伝えておくと良いでしょう。
パンフレットなどには紙面に限りがあります。
限りある誌面の中に、必要な情報を盛り込むため、誌面のレイアウトはメリハリのある構成にする必要があります。
より強調したい部分はデザインの中心になりますので、最もアピールしたいポイントを伝えておきましょう。
例えば、
などです。
掲載する内容の中で最も強調したほうが良いポイントが分かると、デザイナーもデザインしやすくなります。結果的に、要望に沿ったデザインに仕上りやすいので、必ず強調ポイントを伝えておきましょう。
4デザイン上、困っていることや悩みを伝える
いざ、カタログやパンフレットを作ろうと思い、紙面に入れる文章や写真を集めてみたものの、十分な素材が揃いきらなかった・・・という事がよくあります。心当たりはありませんか?
すべての素材が完璧に集まるまでに試行錯誤しているうちに、どんどん時間が経って、なかなか着手できないという負のスパイラルに陥る事もしばしばです。
このような場合でも、そのままデザイナーに困っているを伝え相談に乗ってもらいましょう。
揃いきらなかった素材を保留にして、できるところからデザインを始められる場合もあります。デザインが始まると、一気にイメージが湧くようになり、素材集めもスムーズになることもありますので、まずはデザイナーと相談しながら制作を進めて行くことをオススメします。
また、どのようなデザインなら魅力的なパンフレットになるのか、よくわからない場合も、そのままデザイナーに相談しましょう。
例えば、
などです。
綺麗で見栄えの良い写真がなければフリー素材写真などで代用することも可能です。
また、魅せ方がよくわからない場合は、デザイナーがレイアウトの提案もしてくれます。
レイアウト上の悩みについては、そのまま悩みを相談すると良いでしょう。
5ヒアリングシートを活用する
弊社では、お客様とデザイナーとのコミュニケーションを良好に進めるために、デザインの要望に関するヒアリングシートをご用意しています。パンフレットやカタログのデザインを作る際に、必ず聞いておきたいポイントがありますので、そのポイントに沿って聞き取りをします。
ヒアリングシートに記録することで、お客様の頭の中も整理されると共に、ディレクターやデザイナーがお客様の要望を理解することができます。また、ヒアリングシートだけでは足りない部分は、メールや電話にて追加で聞き取りすることで、さらにお客様の要望を理解することが可能になります。
以下が、パンフレットやカタログのヒアリングシートの項目の一例です。
デザイナーへの要望の伝え方がわからない場合は、このようなヒアリングシートを用意している制作会社を選ぶと良いと思います。日頃から、お客様との間で、きちんとした聞き取りをしているデザイン会社であれば、だいたい用意していることでしょう。
6忙しい人がデザイン制作会社を選ぶコツ
ここからは、どのように制作会社を選べばよいかについて説明していきたいと思います。
特に、日々の業務のかたわら、会社のカタログやパンフレット制作担当になった方が苦労するのが制作会社選びです。専任の広報があるわけでもなく、通常業務の合間に製作会社探しをされる方が多くいます。
そんな方々、できるだけ失敗しないような選び方のコツをお伝えいたします。
作りたい物の難易度を知る。
まずは、お客様自身が作りたいものや目指す方向性を定めてから会社探しに着手しましょう。
制作物や求める方向性によって、難易度が異なります。ご自身はどのようなものを求めているのかを、考えてから始めると良いでしょう。
難易度が低いもの
名刺、シール、ウェブサイト用のバナー画像などは、比較的難易度が低いです。
制作物の誌面やサイズが、比較的小さいので、掲載できる情報量も少ないため、比較的簡単に作成することができます。
難易度が中くらいのもの
チラシやポスターなどは、中難度の制作物と言えます。
また、4ページから8ページくらいの折パンフレットや小冊子も中難度でしょう
難易度が高いもの
複数ページを有する小冊子やカタログ冊子は高難度です。
10ページを超えてくるものは、情報の整理やコンセプトの定め方も、かなりのノウハウを要します。
掲載出来る文字数も多いため、誤字脱字を防ぐためのノウハウや印刷エラーのリスク回避などの知識が必要です。
また、オリジナルイラストや漫画作成も高難度です。
上記は、かなりの経験値をもつデザイナーに依頼しないと失敗するリスクが高まります。
難易度が∞のもの
ロゴマークは難易度が無限大です。
一見簡単そうに見えますが、何度もパターンを作り直して検討する方も多く、ゴール設定がとても難しいです。
7貴社はどのタイプですか?
また、企業の規模や組織の大きさなどにより、求めるものが異なる傾向があります。
これが正解という訳ではありませんが、参考までにタイプ別にまとめてみました。
公営企業タイプ:行政機関、官公庁、病院、NPO団体など
大手企業タイプ:上場企業、グループ企業など
中小企業タイプ:中小零細企業など
スタートアップタイプ:商店、個人、起業したばかりなど
これらを踏まえて、どのようなデザイン会社に依頼すれば相性があうのか、下記の表にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。