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後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

印刷のノウハウペーパーレス化時代に、会社案内パンフレットはPDFだけあればいい? 〈紙とPDFの役割の違いを考える〉

  • 2026年04月21日
  • ノウハウ

<記事の概要>

会社案内はPDFだけで十分とは限りません。紙は印象や会話を生み、PDFは共有や保管に便利。それぞれの役割を整理し、効果的な使い分けを考える記事です。

1この記事はこのような方におすすめ

  • 会社案内を作ろうとしている中小企業
  • 紙を作るべきか迷っている担当者
  • PDFだけで十分か悩んでいる人
  • 営業ツールや採用ツールを見直したい会社

2紙とPDFの役割の違いを考えてみよう

会社案内パンフレットというと、最近はPDFで送る機会が増えました。
PDFデータなら、メールですぐに送れ、社内共有もしやすく、とても便利です。

実際、問い合わせ後の資料送付や、遠方のお客様への案内は、PDFで送る方法は非常に使いやすいです。

一方で、対面の打ち合わせや初回訪問の場では、まだまだ紙の会社案内パンフレットならではの強さがあります。

手渡しできること。
紙の質感やデザインごと印象として残ること。
その場でページをめくりながら会話ができること。

紙には、PDFデータにはない「手元に残る力」があります。

紙の会社案内を渡すと、その場で反応が返ってくることがあります。

「見やすいですね」
「こういう仕事もされているんですね」

といった会話が生まれやすく、資料そのものが営業ツールになります。
特に初対面では、会社の雰囲気や姿勢まで伝えやすいのが、紙のパンフレットの良さです。

3紙とPDFの違いは、便利さではなく役割にある

反対にPDFは、送る側にとっては効率的ですが、受け取る側にとっては他のメールに埋もれてしまうこともあります。

すぐ共有できるという大きな利点がある一方で、

「送ったけれど、まだ見てもらえていない」

ということも起こりやすいのです。

つまり、紙とPDFは競合するものではなく、役割が違うということです。

  • 印象を残したいなら紙
  • 早く届けたい、複数人で共有したいならPDF

このように考えると、どちらか一方ではなく、両方を目的に応じて使い分けるのがもっとも効果的です。

会社案内は、ただ情報を載せて見てもらうだけのものではありません。
相手にどう伝わるか、どう記憶に残るかを考えて作ることで、紙にもPDFにもそれぞれの価値が見えてきます。

4中小企業のデジタル化は、実際どこまで進んでいるのか

それでは、少しPDFデータについて深堀りしてみましょう。
実際に企業の現場では、どのくらいデジタル化が進んでいるのでしょうか。

中小企業庁のがだしている2025年版中小企業白書では、デジタル化に取り組む事業者の取組内容として、「自社ホームページの作成・更新」 や 「紙書類の電子化・ペーパーレス化」 が高い割合を占めていることが分かっています。

段階4:デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態
段階3:デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態
段階2:アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態
段階1:紙や口頭による業務が中心で、 デジタル化が図られていない状態

段階2では、自社ホームページの作成・更新が 60.3%、紙書類の電子化・ペーパーレス化が 50.2%。
段階3では、それぞれ 73.0%、66.6%。
段階4では 74.8%、70.4% に達しています。

➡参考資料:2025年版 中小企業白書(HTML版) 〉第5節 デジタル化・DX
(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. デジタル化の取組内容について、「特にない」と回答した事業者を含む合計に対する割合を集計している。なお、「特にない」は表示していない。
2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。


この数字から、会社案内としてWeホームページやPDFを用意することは、かなり自然になってようにみられます。

実際、白書でも、デジタル化に取り組む事業者ほどホームページ更新や紙書類の電子化が進んでいることが示されています。

ただし、ここで大事なのは、デジタル化が進んでいることと、紙が不要になることは同じではないという点です。

対面の商談、展示会、採用説明会などでは、紙で渡すことに意味がある場面は今も強く残っています。
だからこそ、会社案内は「紙かPDFか」と二者択一で考えるのではなく、役割に応じて使い分けることが大切です。

5飲食店でも「便利」と「見やすい」は同じではない

デジタルと紙の違いについて、飲食店を例にして解説してみます。
最近は、タッチパネルで注文する飲食店がかなり増えました。

人手不足対策や注文ミスの防止、会計やオペレーションの効率化という面では、とても合理的な仕組みです。

私も、タッチパネルでのオーダーは大好きです。
実際、注文がとても便利です。

写真を見ながら選べ、店員さんを呼ばなくてもその場で完結できます。
なかなか悩んでメニューが選びきれない時も、ダラダラ見ながらゆっくりオーダーできるのが心地よいです。

さらには、追加注文もしやすく、店舗側にとってもお客様側にとっても、一定のメリットがあると考えています。
ついつい、頼みすぎちゃうね・・・なんてことも。

ただ一方で、

「今日はどんな料理があるのか全体を見たい」
「似たメニューを比べながら決めたい」
「この店は何が売りなのか知りたい」

というときには、冊子のメニュー表のほうが見やすいと感じることがあります。

実際にタッチパネルで選んでいても、ついつい、紙のメニューで確認して選び直すことも。
そんな経験ありませんか?

6タッチパネルは“目的の料理を選ぶ”には強い

タッチパネルは、ある程度「食べたいもの」が決まっているときにはとても便利です。

  • いつものメニューをすぐ頼みたい
  • ドリンクを追加したい
  • ランチセットを選びたい
  • 会計までスムーズに進めたい

こうした場面では、迷いが少なく、操作も早く済みます。

つまりタッチパネルは、
対象がある程度絞られているときには強い仕組みです。

一方で、タッチパネルでは、画面ごとに情報が区切られることが多く、一度に見える範囲が限られます。

  • 定食と単品を行き来しながら比べる
  • 季節メニューと定番メニューを見比べる
  • サイドメニューとの組み合わせを考える
  • 価格帯や品数をざっと把握する

という場合には、タッチパネルは冊子よりも、つかみにくいのが特徴です。

タッチパネルだと、画面を切り替えながら見ていくため、全体像がつかみにくいことがあるのです。

7冊子メニューは店の世界観ごと伝えやすい

紙の冊子メニューの強みは、単に一覧しやすいことだけではありません。
ページを開いたときに、

  • どの料理が大きく扱われているか
  • 何が看板商品なのか
  • 写真や言葉のトーンから、どんな雰囲気のお店なのか

といった情報が、自然に入ってきます。
目で情報を捉えやすく、即座に脳が全体像を把握しはじめます。

つまり冊子メニューは、料理を選ぶための道具であると同時に、お店の魅力や考え方を伝える道具でもあります。

ここが、会社案内パンフレットととてもよく似ています。

会社案内も「情報を見る」だけではありません。

会社案内をPDFで送ると、必要な情報はきちんと届けられます。
事業内容、実績、会社概要、問い合わせ先など、要点を共有するには十分です。

しかし、紙の会社案内パンフレットには、それ以上の役割があります。

  • どんな順番で情報を見せるか
  • 何を大きく見せるか
  • どんな写真や紙質で印象づけるか
  • 会社の雰囲気や姿勢をどう感じてもらうか

こうした要素が重なることで、「この会社はこういう会社なんだ」という印象がつくられます。

これは、冊子メニューで店の雰囲気やこだわりが伝わるのと似ています。

8なぜ紙のほうが見やすいと感じるのか

これまで解説してきたとおり、紙の会社案内パンフレットが見やすいと感じるのは、単なる気のせいではありません。

もちろん、内容やデザインの出来によって印象は変わりますが、紙と画面では、そもそも情報の見え方が違うという点も関係しています。

まずは、デジタル端末での見え方について考えてみましょう。

たとえば画面で資料を見るときは、今見えている範囲の中で情報を追うことになりやすく、スクロールや画面の切り替えをしながら読む場面も増えます。

このとき、表示される行数や1行あたりの文字数といったレイアウト条件によって、読みやすさが左右されることが、日本語の研究でも示されています。情報処理学会論文誌の研究では、縦スクロール表示の読みやすさは、表示枠サイズや文字の見え方の条件に影響を受けることが報告されています。

また、画面上のメニューや一覧表示は、文字サイズだけでなく、行間や字間の取り方でも視認性が大きく変わります。

資料を見るときには、ただ読むだけでなく、

  • 比較しながら探す
  • 全体を把握する
  • 前後関係をつかむ

といった読み方をすることがあります。

こうした場面では、デジタル端末では表示形式の違いがより一層影響します。
媒体や操作性の違いが影響しやすいと考えられます。

その点、紙にはページの位置や前後関係といった物理的な手がかりがあります。

「この情報は見開きの右側にあった」
「前のページに事例が載っていた」

といった感覚で、情報の位置関係ごと受け取りやすいのが紙の特徴です。

だからこそ、一覧性や比較のしやすさという点では、紙が有利に働く場面があります。
もちろん、すべての資料で紙のほうが優れていると言い切ることはできません。

すぐ送れること、共有しやすいこと、更新しやすいことではPDFに大きな利点があります。

ただ、全体を見渡す、比較しながら理解する、印象を受け取るという場面では、紙の会社案内パンフレットが見やすいと感じられるのには、画面の表示範囲や操作性の違いも関係しているのです。

9実際の営業や打ち合わせでは何が違うか

会社案内パンフレットの紙とPDFの役割の違いは、実際の営業や打ち合わせの場面で考えると、よりわかりやすくなります。

まず紙のパンフレットは、その場で相手と一緒に見ながら話を進めやすいという強みがあります。

ページをめくりながら、

「この事例は御社に近いですね」
「このサービスの部分をもう少し詳しく聞きたいです」

といった会話が生まれやすく、資料そのものが打ち合わせのきっかけになります。

また、紙は情報だけでなく、紙質やレイアウト、写真の使い方も含めて印象として残ります。
会社の雰囲気や姿勢、丁寧さのようなものまで、相手に伝わりやすいのが特徴です。

さらに、打ち合わせのあとも机の上に残る可能性があります。

メールで受け取ったPDFは、他のメール連絡の中に埋もれてしまうことがありますが、紙の資料は手元に残ることで、あとから見返されるきっかけをつくりやすくなります。


一方で、PDFにはPDFの強みがあります。

すぐ送れること。
複数人に共有しやすいこと。
社内展開しやすいこと。

そして、打ち合わせ後のフォロー資料として使いやすいことです。

たとえば、打ち合わせ直後に
「本日お話しした内容に近い事例として、会社案内PDFをお送りします」
と送れば、その場にいなかった担当者にも内容を共有してもらいやすくなります。
遠方のお客様への案内や、複数部署での検討が必要な案件では、PDFの機動力は非常に大きな武器になります。

ただし、PDFは便利な反面、受け取る側にとっては他のメールに埋もれてしまいやすいという弱点もあります。
送った側は「渡したつもり」でも、相手はまだ開いていない、あるいは後回しになっていることも少なくありません。
このように、営業の現場では役割がはっきり分かれます。

紙は、その場の反応を生みやすい。
PDFは、その後の共有に向いている。

どちらが優れているかではなく、営業の流れのどこで使うかが大事なのです。
初回訪問や商談では紙を使い、打ち合わせ後の共有や社内展開にはPDFを使う。
このように役割を分けることで、会社案内はより効果的な営業ツールになります。

10 結論|どちらかではなく使い分けが大事

ここまで見てきたように、会社案内パンフレットは、紙とPDFのどちらが優れているかで考えるものではありません。
それぞれに役割があり、場面によって向き不向きがあります。

たとえば、初回訪問や商談の場では、紙のパンフレットが強みを発揮します。
手渡しできること、その場で一緒に見ながら話せること、紙質やデザインも含めて印象を残しやすいこと。

こうした要素は、対面でのやり取りの中で大きな力になります。

一方で、問い合わせ対応や社内共有、打ち合わせ後のフォローでは、PDFが非常に便利です。
すぐ送れること、複数人に展開しやすいこと、遠方のお客様にもすぐ届けられること。
情報共有の速さと広がりという点では、PDFに大きな利点があります。

つまり、どちらか一方に決めるのではなく、役割に応じて使い分けることが効果的です。
たとえば、

  • 初回商談では紙で渡す
  • 打ち合わせ後にPDFを送る
  • 社内検討用にはPDFを使う
  • 印象づけや記憶に残す役割は紙に持たせる

このように考えると、会社案内パンフレットは単なる説明資料ではなく、営業やコミュニケーションの流れの中で機能するツールとして活かせます。

会社案内は、情報を載せるだけの資料ではありません。
相手にどう伝わるか、どう記憶に残るかまで考えることで、紙にもPDFにも、それぞれの価値が見えてきます。

11まとめ(1分で違いを知る)

PDFの強み

  • すぐ送れる
  • 遠方にも届けやすい
  • 複数人に共有しやすい
  • 修正や差し替えがしやすい
  • 印刷コストがかからない

紙の強み

  • ページ全体を見渡しやすい
  • 事業内容や実績の全体像が入りやすい
  • 会社の雰囲気や姿勢まで伝わりやすい
  • 手元に残りやすい
  • 商談の場で会話のきっかけになりやすい


PDFは「届ける」ことに強く、
紙は「伝える」「残す」ことに強い。

後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

後藤 ようこ取締役副社長

スキル

  • ランディング(執筆)
  • ディレクション
  • コンサルティング

大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。

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