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後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

UDの基本ユニバーサルデザインに沿ったパンフレットづくり 〜UDの基本〜

<記事の概要>

UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した印刷物とは、どんな点に配慮すればよいのか、基本的な考え方と印刷物制作のポイントについてまとめました。

1貴社のパンフレットは、本当に見やすいパンフレットですか?

こんなお悩みはありませんか?

◉様々な人に見やすいパンフレットを作りたい。
◉障害のある人や高齢者にも優しいパンフレットを作りたい。
◉自社のパンフレットは見やすいのか不安に思う。

当社は、約27年間にわたり、パンフレットやカタログ制作、ホームページ制作などを専門として業務を行ってきました。お付き合いした顧客の数は数千社に及びます。(弊社の実績は、お客様の感想をまとめた『リアルな声』を御覧ください。生の声をそのままアップしています。別ウィンドウで開きます。)


パンフレットやカタログは第三者に見てもらい、内容を理解していただき、相手に行動変容してもらうためのツールです。そのため、自分たちの伝えたい事が正しく、正確に伝わるのはもちろんのこと、『欲しい』『買いたい』と思ってもらわなければなりません。

しかし、世の中にはパンフレットを簡単に読み解ける人、読み解きにくい人などが存在します。ですから、これらを十分加味した構造になっていなければなりません。

このブログでは、このように、どんなハンディキャップをもっている人でも、できるだけ読みやすいパンフレットにするための紙面づくりの工夫についてまとめています。折角、作成するパンフレットです。ユーザービリティに優れたパンフレットになるよう、みなさんと情報共有したいと思います。5本の記事に分けて解説していますので、ぜひお読みください。

2UDをパンフレットづくりにどのように盛り込むか

この世界には、さまざまな人々が共存し同じ生活空間を共有しています。

私達が住む日本においても例外なく、

  • 障害をもつ人
  • 高齢者や子ども
  • 日本語を母国語としない外国人

など、多種多様な人々が多く存在し、ひとつの都市・街を構成しています。

たとえば、そこに暮らす人々に何かを伝えたいと考え、チラシやパンフレットなどの印刷物を作って配布した際に、すこしの配慮が足りずに十分に伝わらなかった経験は無いでしょうか?

せっかく作ったチラシやパンフレットが、ちょっとした配慮が足りなかったばかりに情報が正確に伝わらないなんて、とても残念な事です。

そこで、このような失敗をしないために押さえておきたいのがUD(ユニバーサルデザイン)という考え方です。

UD(ユニバーサルデザイン)とは、障害の有無や年齢、性別、人種などにかかわらず、多様な人々が利用しやすいように都市や生活環境などをデザインする考え方です。

この考え方は、もちろんパンフレットなどの印刷物の作成時にもあてはまります。

また、法律の側面でも以下の通り定められています

平成28年から施行された『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律』では、すべての人が障害の有無にかかわらず差別されない社会を目指すため、行政機関や事業者に、不当な差別的取扱いの禁止、そして負担になりすぎない範囲での合理的配慮の提供が求められることを定めています。

以上のことから、パンフレットなどの印刷物を作る際にも、さまざまな状況の人々にできるだけ正確に伝わるように配慮することが、この時代には求められている事がお分かりいただけると思います。

3印刷物におけるUDに基づく配慮

それでは、具体的に印刷物におけるUD(ユニバーサルデザイン)は、どのような点に配慮すべきかについてまとめてみたいと思います。パンフレットやカタログを受け取る人の属性をイメージしてください。様々な事情で情報を読み取りにくい人々がいます。そのような方々に配慮した誌面づくりが必要になります。

これから作ろうとするパンフレットは、どんな人々をターゲットにしているのかをイメージして以下を御覧ください。このような方々にもユーザーフレンドリーな印刷物を作ることが、UDに沿ったパンフレット作りです。

視覚障害者

弱視者は周囲の明るさや対象物のコントラスト等の状況によって、同じものでも見え方が異なる場合があります。そのほか、視野の欠損により周囲の情報を十分にとらえられなかったり、視野の中心の暗点により見えにくい方がいたりと、さまざまな障害を持っている人がいます。

色弱者

色弱者の大部分が「赤~緑」の波長域の見分けがつきづらく、濃い赤が黒に見えることがあります。ほかにも、明度や彩度の近い色の識別が困難です。色弱者は、男性では20人に1人、女性では500人に1人の割合でいると言われています。(全国では300万人以上いる)

高齢者

40歳代以上になると視力の変化を自覚するようになります。その後、加齢とともに色覚機能も低下していきます。黄系や青系の感度が鈍くなり、コントラストに対する感度も低下します。また、白内障になると視野が白濁し、すりガラス越しのような見え方になります。

聴覚障害者

早い段階で失聴した場合、言語を習得する前から聴覚障害を発症してしまうため、複雑な表現や難しい漢字などを理解することが苦手な人がいます。

知的障害者

知的機能の障害があり、複雑な表現や難しい漢字などを理解することが苦手な人がいます。

精神障害者

統合失調症、気分障害、てんかん等の精神疾患を抱えている人は、ストレスに弱く疲れやすい傾向にあります。そのため、物事の内容を理解するのに時間がかかる人がいます。

発達障害者

複数の情報に同時に処理し、全体の意味を把握することが苦手な人がいます。しかしそんな方は、特定の物事を理解するのは得意だったりします。このように、ご自身の能力にアンバランスさを抱えている人がいます。

子ども

年齢によっては複雑な表現や、教えられていない漢字などを理解することができません。

外国人

母国語が日本語でない場合、複雑な表現や難しい漢字などがわかりにくいことがあります。

4印刷物におけるUDに基づく具体的な工夫

上記のような特徴をもつ方々にも、見やすく読みやすい印刷物を作るには、デザインから工夫することが必要になります。UD(ユニバーサルデザイン)に配慮した印刷物は、どのような点に配慮して作ればいいか、以下にポイントをまとめます。

チラシの紙面構成の注意点

左が改善前のチラシの構成案です。全体的に文字が細くて背景と重なって見にくい部分が多々あります。また、色を沢山使いすぎており、強調しているものは何なのかが分かりにくいです。さらに、内容とマッチしない画像を使ったり、意味の無い写真を多数配置することで、内容の理解がしにくくなっています。
右は改善案です。文字部分は背景とのコントラストをハッキリさせています。写真は必要枚数を適宜使用し、色数を抑えて、要点をまとめた紙面構成になりました。

※クリックして拡大して御覧ください。

白黒コピーもして確認

カラーのチラシの場合は、白黒でコピーをしてみて確認してもよいでしょう。白黒コピーで、ハッキリと認知できるレイアウトであれば問題ないでしょう。

注意点まとめ

文字の大きさ

できるだけ大きな文字で作成する。(例:A4判の場合は、14ポイントで太字)

文章表現

耳で聞いたときにわかりやすい文章にする。

表やグラフ、写真への配慮

表グラフ、写真、図等には説明を加える。

色の使い方

色の見え方は一様でないことを常に意識して作成する。

マークなどの使い方

重要な情報は、色以外の手がかりとなる数字やマークも入れる。

コントラスト

文字と背景は、できるだけコントラストの差がある組合せにする(明るい背景に暗い文字など)。

言葉の使い方

外国語や略語に気をつけ、わかりやすい言葉を使う。やさしい日本語にする。

ルビ

難しい漢字を使う場合はひらがなやカタカナのルビをつける。

文章の長さ

長い文章を読むことが苦手な人もいるため短い文章でまとめる。

お問合せ先などの情報の工夫

お問合せ先など大切な情報には、FAX番号やメールアドレスなども併記する。

イラストや写真

イラストや写真を取り入れ、やさしくわかりやすい言葉で表現する。

装飾

必要以上の装飾は避け、ポイントを絞ったシンプルなレイアウトにする。

多言語化

積極的に多言語で情報をいれる。各自治体によるガイドラインを参考に多言語対応の改善・強化に努める。

5参考文献

なお、本記事は以下の『わかりやすい印刷物のつくり方 ~ユニバーサルデザインの視点から~』を参考にしてまとめています。

わかりやすい印刷物のつくり方 ~ユニバーサルデザインの視点から~

6UD検定に合格したデザイナーがアドバイス制作をします!

ユニバーサルデザインをご希望される場合は、UD検定(※1)に合格したデザイナーが制作させていただきます。
制作物のご用途やお使いになるユーザーの傾向をお伺いし、言葉や図の効果的な使い方、色の組み合わせ、書体の選定など、ユニバーサルデザインにそったアドバイスをさせていただき、お客様に合わせて制作をさせていただきます。

※1) UD検定・初級 認定番号 第000960号
国際ユニヴァーサルデザイン協議会【IAUD】
https://www.iaud.net/

UD検定

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後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

後藤 ようこ取締役副社長

スキル

  • ランディング(執筆)
  • ディレクション
  • コンサルティング

大学病院で看護師として働いたのち、看護教員の資格を取得し看護教育に携わりました。
現在は株式会社ノーブランドの取締役としてウェブサイトやパンフレット制作のディレクションを担当しています。(ディレクションは20年以上の経験を持ちます。)
また、医療系の出版社で医療記事の連載をした経験があります。医療記事をはじめ、販促物に掲載する原稿作成(ライティング)も担当しています。医療知識を持っているため、医療、介護、福祉関係のお客様が多いです
これまで学んできた、教育学、人間関係論、心理学などの知識を活かし、販売促進に関わるコンサルティングも行っています。

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