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後藤ようこ

執筆者:後藤ようこ

消費税増税(10%)に伴う転嫁拒否などの行為の是正について

  • 2019年10月22日
  • コラム

消費税の転嫁拒否等の行為に対するスキーム

2019年10月1日より、ついに消費税が10%になりました。皆様の業界では、景気の動向などいかがでしょうか?今回の増税は、単純な増税ではなく軽減税率が導入されるなど、混乱が予測されましたが、今の所、大きな混乱なく取り入れられているようです。

さて、事業を営む方であれば、消費税増税後に悩みのタネとなるもののと一つとして『転嫁拒否』などがあるのではないでしょうか?増税のたびに、国が(公正取引委員会)が事業者に警鐘をならしている事の一つですね。今回は、この『消費税転嫁拒否行為』に関する是正についてコラムにまとめたいと思います。

消費増税が行われるたびに、政府から中小企業にアンケートが配布されます。
今回も『消費税転嫁拒否等の行為の是正』という事で、中小企業に郵送にてアンケート用紙が配布されました。

こちらの資料に同封されていたチラシを元に、『消費税転嫁拒否の行為の是正』についてポイントをまとめていきます。

政府は、これら消費税の転嫁拒否等の行為が行われないよう、監視・取締を行っています。消費税の転嫁拒否等の行為に対するスキームは下記の図の通りです。

消費税の転嫁拒否等の是正

上記の図の通り、公正取引委員会および、中小企業庁長官や事業を所管する大臣は、『特定事業者』(※1)に対し、報告を求めたり職員に立ち入り検査を行わせたりしています。ここで言う『特定事業者』(※1)とは、以下の2つの条件に当てはまる事業者のことをさします。

特定事業者 ※1

  • 1.一般消費者が日常仕様する商品の小売業者で前事業年度における売上高が100億円以上である事業者
  • 2.特定供給事業者(※2)から継続して商品またはサービスの供給をうける法人

そして、特定供給事業者とは以下の条件にあてはまる事業者のことをさします。

特定供給事業者 ※2

  • 1.大規模小売事業者に継続して商品、またはサービスを供給する事業者
  • 2.特定事業者に継続して商品、またはサービスを供給する、1)〜3)の事業者
    1)個人事業者
    2)人格のない社団等
    3)資本金等の額が3億円以下である事業者

※地方公共団体や独立行政法人などの事業を行っている法人も『特定事業者』に含まれる。
※消費税の免税事業者であっても特定供給事業者に該当。

転嫁拒否等の行為の是正とは

つまり、『転嫁拒否等の行為の是正』とは、特定事業者(買い手)と特定供給事業者(売り手)との事業間取引において、消費増税における増税分の転嫁が正常に行われるよう、国が監視・取締を行う事をいいます。

簡単にいえば、消費増税にあたり、下請け事業者などがしわ寄せをうけ、適正な価格転嫁ができず、消費増税分を負担させられないように見張っているということです。

法律面においては、『消費税転嫁対策特別処置法』で、小売事業者(下流事業者)が下請事業者(上流事業者)に対し、消費増税分を減額するよう求めたり、利益提供を求めたりすることは禁止されています。今回の、2019年10月より変更になった消費税(10%)増税においても、引き続き『転嫁Gメン』による監視が強化されています。

【規制対象となる消費税転嫁拒否行為】
平成26年4月1日以降に、特定供給事業者から受ける商品(およびサービス)の供給に関して、特定事業者が特定供給事業者に対して消費税の転嫁拒否を行う場合が対象。

それでは、具体的に、どのような行為が『転嫁拒否』とされるかについて見てみましょう。

禁止行為1:減額

特定事業者は、消費税引き上げの全部、または一部を、事後的に減じて支払う事により、消費税の転嫁を拒否してはいけない。


消費増税後に、消費増税前に契約した金額を対価から引いて支払うような行為を禁じています。消費税引き上げ分を上乗せして請求した時に、計算上に生じる端数を対価から一方的に切り捨てて支払う事も禁じられています。

禁止行為2:買いたたき

特定事業者は、合理的な理由なく、通常支払われる対価に比べて対価の額を低く定めることにより、消費税の転嫁を拒否してはいけない。



消費増税前に決めた税込価格を、取引先から対価引き上げの要請や価格交渉の申出がないことを理由に対価を据え置く事は禁じられています。また、安売りセールをするので大量発注するからと取引先に対して値引きを要求し、消費増税前の対価に増税分の上乗せをしない対価に定めてはいけません。さらには、消費税免税事業者であることを理由に、消費増税引き上げ分を上乗せしないで対価を定めたり、自己の供給する商品が軽減税率の対象だからと、増税分の引き上げを受け入れないのも禁止されています。

※ただし、治療発注や共同配送などにより、特定供給事業者にもコスト削減効果が生じている場合には、当事者間の価格交渉を経て、コスト削減効果を対価に反映させるのは買いたたきにはならないそうです。

禁止行為3:商品購入、役務利用、利益供給の要請

特定事業者は、消費増税の転嫁を受け入れる代わりに、特定事業者の指定する商品を購入させたり、役務を利用させたり、経済上の利益を提供させる行為を行ってはならない。



消費税引き上げ分を上乗せする代わりに、取引先にディナーショーのチケットの購入を促したり、自社の宿泊施設の利用を要請したりする行為を禁じています。その他、協賛金を要請したり、従業員の派遣を要請したりすることもいけません。また、消費増税に対応した受発注システム変更に必要な費用を要請することも禁止されています。

さらには、消費増税に対応するため、取引先に対し、消費増税に対応した値札の変更や値札の付替作業を要請することも禁止です。

禁止行為4:本体価格での交渉の拒否

特定事業者は、価格交渉を行う際に、特定供給事業者から本体価格での交渉の申出を受けた場合には拒否してはいけない。



消費増税にまつわる価格変更の際、取引先から本体価格での交渉を求められた場合には、それを拒否してはいけないことになっています。特定供給事業者が、税別表記での見積もりを提示したところ、税込み価格での見積書を再提出させたり、税込み価格しか記載できない見積書などの様式を定めてしまい、その使用を余儀なくさせることも禁止されています。

禁止行為5:報復行為

特定事業者は、消費増税転嫁拒否の行為があるとして、特定供給事業者が公正取引委員会などに、その事実を知らせたことを理由に、取引数量を減じたり、取引を停止したり、不利益な取り扱いを行ってはいけない。



常に、消費税転嫁拒否の行為を是正するため、国は監視の目を光らせるとともに、何か問題行為があった場合には、特定供給事業者が相談できるような仕組みを構築しています。万が一、悪質な転嫁拒否が発生した場合に、通報したりした事への報復は禁じられています。

参考:消費税率引上げに向けた消費税の転嫁状況に関する調査について(公正取引委員会)https://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/tenkasyomentyousa_files/01tenkajoukyou.pdf

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