

執筆者:後藤ようこ
即効性のある広告など存在しない
- 2013年10月05日
- コラム
『騙されたと思って、一年間は続けてください』
~即効性のある広告など存在しない~
先日、ある税理士さんのこんなコラムを読みました。
「社長は会社を大きくするな」
「儲かっている時こそ、冷静に、慎重に!」
このフレーズをどう読むかは、人それぞれでしょうが、私は、これを瞬時に理解できる人は、変化に柔軟に対応できる経営者さんだと考えます。
さらに、その税理士さんはこうも書いていました。
会社が軌道に乗ってきた時に、よく考えずにやってしまうこととして
- ①一気に人を増やす
- ②借金して事業拡大を目指す
- ③一等地にオフィスを引越しする
- ④リースなどで設備投資をはかる
- ⑤大々的な宣伝広告をする
をあげ、これらはよく考えてから慎重に取り組むべきことととして苦言を呈していました。
これは、すこぶる合点のいく五箇条だな、と感じます。
注目すべき5つめ。
「大々的な宣伝広告をする」。
これは、まさに、当社のサービス範囲内であり、サービスを提供する我々にとっては、「どうぞどうぞ、宣伝広告やりましょうよ!」とお客様の背中を何回も押してしまいたいと思われそうですが、実はそういう気持ちはありません。この「大々的な」という枕詞が気になるからです。
大々的な宣伝広告といったら、
- ①テレビ(ラジオ)コマーシャル
- ②新聞折込広告
- ③看板広告
- ④ネット広告
- ⑥新聞広告
- ⑦電車の中吊り広告……
といった所でしょうか?
どれも、既存メディアの伝播力を使った、コストのかかるアプローチです。中小企業ではなかなか手の出せない広告ではありますが、会社が軌道にのると、こんな攻勢をかけたくなるわけですね。当社も一度、某経済新聞に
ちょっと大きめの新聞広告を出したことがありますが、反響といったら、営業電話が1本だけでした。(笑)
もちろん、広告効果はそれだけでは図れません。しかし、費用対効果としてみたときに、「二度とやるもんか」と思ってしまうわけです。
では、「儲かっている時こそ慎重になるべき」とありますが、「儲かっていないとき」はどうでしょう?広告したいけど、広告費が捻出できない。でも、注文が少なくてこのままではこまる。
さて、どうする?
ここからが、今回の記事のテーマとなるところです。
販促や宣伝は、緩急をつけない!
ニッパチ。
いわゆる、一年で最も企業の売上が下がると言われる月、2月と8月の事です。程度の差はあれ、おおむねどこの企業も売上グラフは低迷する月では無いでしょうか?1期目ならまだしも、毎年繰り返し訪れるニッパチに対して、なんの対策もしない企業は無いでしょう。なんらかの策を取り入れ、できる限りこの月に、大幅な減益をくらわないような販促や営業をしていることと思います。
我々の業界も、その影響を受けているのか、なぜかニッパチを挟む1月と3月、7月と9月は、ご注文の多い月になっております。しかし、困ったことに、私どもの所にご注文が入るタイミングというのは、かなりギリギリのところでありまして、だいたい「急いでます」という注文になっているわけです。
本当は、この「急いでます」というのがよろしくないのです。
急いで販促物を製作すると、納期が短くなり、制作費も印刷料金も高くなります。なにより、いろんな意味で精査したり、検討したりする時期がタイトになると、不完全燃焼になり販促効果に少なからず影響するわけです。
つまり、何が言いたいのかともうしますと、売上が下がっているから慌てて販促に取り組む習慣ではなく、緩急をつけずに、平均的に地道に販促に取り組む習慣・思考にチェンジしたほうが良いということなのです。お腹が空いている時に食料品の買い物をすると、余計なものまで買ってしまいませんか?でも、さほど空腹では無いときであれば必要なもの、不足しているもののみ計画的に買えるはずです。(一部、そうじゃないよ、という方もいらしゃるかもしれませんが)
お米は、普通に毎日炊飯していれば減っていきますので定期的に買い足しします。お醤油やマヨネーズも、いざというときのために、ストックをしておいたりするでしょう。そうすることで、常に、食卓にはお醤油とマヨネーズが乗っていて、冷蔵庫が空っぽでも真っ白いご飯を炊いて塩でもかけて食べることができるではありませんか!販促や宣伝も、こういう発想が重要なのです。(あまり良い例えでは無いかも知れませんが)
緩急付けずにコンスタントに取り組む事こそ、中小企業に必要な販促・宣伝・営業なのです。
まあ、お米やお醤油、マヨネーズなどを取り上げて、地道な販促が大事ですよ、と説明してきたわけですが、
お金が有り余って税金払うくらいなら大々的な広告に使ってしまいたい!という方は別ですので、それは思う存分やっていただいても問題ございません(のであしからず)。
即効性のある宣伝広告があれば教えてもらいたい。
これまで、長々と、中小企業にとって必要な販促の心構えをまとめてきた訳ですが、最後に一ついいたいのは
「即効性のある宣伝効果があればこっちが教えてもらいたい」ということです。
これをすれば、絶対顧客倍増・注文倍増だよ!っていうとっておきのヤツをお願いします!ちなみに、宣伝広告のプロといわれる私たちは、それを知りません。というか、そんなものは無いと思っています。
そんな方法があれば、倒産する企業もないでしょうね。
そんな方法があれば、ニッパチなんて怖くないでしょうね。
そんな方法があれば、会社経営なんて楽勝でしょうね。
残念ながら、そんな方法を編み出した人は一人もいないでしょう。
そんな人がいたら、すぐ書籍化して印税で食べていったほうがいいです。
販促・営業のノウハウの決定版!みたいなセオリーがあったら、世の中にあっという間に広まり、みんなHAPPYになるのでは?しかし、残念ながら、そんな魔法の呪文みたいなものは存在しないのです。
ただし、私達が長年取り組んできた販促ノウハウに、
一つだけゆるがない解決法はあります。
でも、もったいないので教えません。
・・・・・というのは冗談で、最後にまとめとしてお知らせいたします。
それは「継続する」ことです。
自社の販促の柱となり、費用対効果もそれなりと考えた販促を、騙されたと思って継続してください。
大きな効果が見られない、
思ったより反響がない、
効果が見えない、
というのはこの際おいておいて、最低でも1年は続けて下さい。必ず、次の一手が見えてきます。
その時のコツとして、
- ①継続できることに取り組む
- ②役割を決めて取り組む
- ③販促コストを決めて取り組む
- ④レスポンスをきちんと評価する
この4つが上げられます。当社では、まずは「継続できる」ことを念頭にアドバイスしています。まずは、騙されたと思って、計画した販促活動を継続してください。これは、当社の成功例から分析したゆるぎない一手です。