

執筆者:後藤ようこ
思い出してもらうより忘れられない事の方が大切
- 2013年11月30日
- コラム
人は忘れるようにできている
人の記憶は忘れるように出来ています。
そのため、人は、忘れてはならないことはメモをするなど記録し、常に、自分の身の回りに置いておく努力をします。それは、忘れてしまったら、自分にとって不利益になるためであり、「忘れない」努力をするのです。それでは、これを営業という視点でみたらどうでしょうか?
例えば、電話営業。
例えば、飛び込み営業。
例えば、DM営業。
いずれも、新しくお取引していただきたいと、ご縁を結ぶために行う能動的な活動です。しかし、それが必ずしも功を奏するばかりではありません。電話をすれば疎ましく思われ不機嫌に電話を切られ。ドアをノックすれば煙たがられ担当者にも会えずじまい。郵送費をかけて送ったDMは開封されずにゴミ箱へ。なんとも浮かばれない事だらけです。
しかし、販路開拓のためには非効率な事を分かっていてもアクションを起こさなければなりません。そういう当社も、大昔はすべてやったことがあります。電話営業も飛び込み営業も、DM営業も。しかし、今ほど効率よく販路は開拓できず、今はどれも行ってはおりません。
ただ、やったことはとても良い経験値になりました。そこから、色んな事を知ることができましたし、何よりも「二度とやりたくないので、やらなくても済む方法」を考える事に至ったことが最も大きな収穫だと、今は考えています。
思い出してもらうのではなく忘れられない戦略へ
1つだけここで書いておこうと思います。上記の営業スタイルはどれもこれも、「何かあったら思い出してくださいね」戦略です。もちろん、ファーストコンタクトでアポイントにつながり、商談成立までトントン拍子で進むこともあるでしょう。しかし、それは、とても確率が低く、営業マンの個別の能力に大きく依存し、効率が良いアプローチとは言いにくいと思っています。
折角、電話したんだから、折角、飛び込んだんだから、名刺や会社案内の一つや二つお渡しするでしょう。
それも、「何かあったら思い出してくださいね」戦略です。でも、人って、最初に述べたように忘れるようにできているのです。
よほどのイケメン(や美人)だったり、よほど気があって「今度飲みにでもいきましょう」くらいまで盛り上がったら話は別ですが、概ね、いつしか忘れられてしまいます。なので、この戦略を、「忘れられない戦略」に考え方をシフトすると道が拓けると考えます。
例えば、一度取引があった所には、定期的に刊行物をお届けする。まだ取引がなくても、見込み客になりそうな見込み客にも定期的に有益な情報を届ける。少なくとも、取引があるところへのアプローチは、とても効果が出やすいので継続して続けていく必要があります。具体的にどんなものをお届けするかは、それぞれの企業で異なりますので、検討をしながらアプローチしてみてください。
思い出してもらうよりも、忘れられない方が大事。
まさに、頭では分かっていても、そのアプローチには労力が伴い、大変かと思います。
しかし、思い出してもらうことのない存在になるよりも、労力を払っても忘れられない存在になる努力をし続けるほうが、私は楽だと考えています。