

執筆者:後藤ようこ
3つのコースに分けよう
- 2016年04月16日
- コラム
飲食店などで、料理が「特上」「上」「並」などに分かれているものがあります。
お店にとって一番注文してもらいたいものはどれだか解りますか?
当然、3つの中で「特上」が一番料金が高くなり、普通に考えると「特上」が答えとなります。
確かに売上からいくと正解になりますが、利益でいうと「上」が正解になる場合がほとんどです。
なぜなら、「特上」は特上として恥ずかしくないものを材料に使わざるを得なくなり、材料費=コストが上がります。料金が高くても、コストも高
いのでそれほど大きな利益につながらないのです。一方、「並」はリーズナブルな料金にしなければなりませんので、利益を削るしかありません。
その点「上」は、品質と価格のバランスを取ることができるので、利益を乗せやすくなります。
今度はお客の視点から見てましょう。「特上」「上」「並」、皆様はどれを選びますか?
結論を言ってしまうと統計的には「上」が一番売れます。
それぞれの印象としては、「特上」には「高い、贅沢、そこまで求めていない」などの心理が働きます。
「並」には「安い=低品質、安くて注文するのが恥ずかしい、後悔しそう」などを考えます。「上」には「ほどほどに良さそう、値段と品質で得しそう」などと考えるとともに、「特上」や「並」にあるような明確なデメリットを感じません。
もちろん、実際には「特上」には、料金を上回る満足感が得られるかもしれませんし、「並」の安さは何物にも変えられないメリットかもしれません。
しかし、人はメリットを求める気持ちよりも、「損をしたくない」気持ちのほうが強く働きます。
これを、「上」「並」などの2つのコースでは、お客の選択は完全に分散してしまいます。
つまり、商品を3つのコースに分けることで、一番デメリットの少ない「上」に注文を集めることができ、さらに利益を乗せやすくもなるのです。